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須貝 宏行
Solid State Ionics, 177(39-40), p.3507 - 3512, 2007/01
金属間化合物 -LiAl におけるトリチウムの拡散係数及び活性化エネルギ (116.311.7kJ/mol) が 、700Kから848Kの温度範囲で得られた。この拡散係数は従来報告されている値と同程度であるが、活性化エネルギーは従来の値 (64.93.8kJ/mol) の2倍近くとなった。従来の報告では、700K以下と700K以上での格子欠陥構造の違いを考慮していないので、以上のようなくい違いを生じたことが明らかとなった。今回得られた活性化エネルギーは、リチウム濃度の増加に伴ってAl-Li系中でのトリチウムの拡散における活性化エネルギーが増加するという系統的な結果と矛盾しないのに対し、従来の結果は矛盾することが示されている。さらに、その結晶構造及び格子欠陥構造を考慮すると、トリチウムは格子間を拡散し、リチウム副格子点のリチウム原子との相互作用によって遅延されることを示した。
須貝 宏行
Solid State Ionics, 177(39-40), p.3507 - 3512, 2007/01
被引用回数:3 パーセンタイル:17.83(Chemistry, Physical)原子力機構で実施した37TBq(1kCi)規模の核融合燃料用トリチウムの試験製造においては、Li合金及びLi化合物のターゲットを原子炉照射することでLi(n,)H反応により生成したトリチウム(H)を、ターゲットを加熱することで抽出し、回収した。ターゲットに用いた-LiAl金属間化合物は、熱伝導性が高いため照射中の除熱が容易であり、加えて、融点(966K)が比較的低いため、ターゲットを加熱溶融することで容易にトリチウムを抽出できるなどの特徴を持つ。-LiAlは、Li原子とAl原子それぞれがダイヤモンド構造の副格子を構成し、室温でも3at% 以上のLi原子空孔等を構造欠陥として含む特異な化合物である。また、格子欠陥構造の違いがトリチウムの拡散に大きく影響する。従来は、全く考慮されていなかった700K以下と700K以上における格子欠陥構造の違いを考慮し、この領域における-LiAl中のトリチウムの拡散係数及びその活性化エネルギーの正確な値を得た。
日高 昭秀; 工藤 保; 石神 努; 石川 淳; 更田 豊志
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(12), p.1192 - 1203, 2004/12
被引用回数:6 パーセンタイル:40.63(Nuclear Science & Technology)原研では、放射性物質の放出機構解明とソースターム高精度予測を目的として、シビアアクシデント条件下における燃料からの放射性物質放出を調べるVEGA実験を行っている。そのうち、圧力影響を調べた実験において、1.0MPaでは0.1MPaに比べCs放出が約30%減少することを観測した。この現象は、結晶粒内拡散に加え開気孔中ガス拡散を考慮した2段階拡散モデルにより説明できることを明らかにした。しかしながら、このモデルは計算時間がかかり、確率論的安全評価等で使用する際は現実的でない。このため、2段階拡散モデルに基づき、燃料表面における開気孔中のガス拡散流束の圧力依存性1/を、放出率速度係数を与える従来のCORSOR-Mに乗じる簡易モデルを導出した。さらに、この簡易モデルを原研のソースタームコードTHALES-2に組み込んで、BWRのTQUXシーケンスにおけるCsI放出を調べた所、格納容器が早期に破損する場合は、環境中放出割合がかえって増加する場合があることを明らかにした。今後、ソースターム計算において1/ CORSOR-Mモデルの使用を提案する。
木内 清
JAERI-M 83-052, 66 Pages, 1983/03
最近すべての型の原子炉において、環境側と構造材料との表面反応による水素の溶解および透過や水素脆性など水素と金属材料とに関係した多くの工学的な問題が指摘されてきている。鉄鋼材料は原子炉圧力ベウンダリー材料の中でも数多く使用されており、鉄中の水素の溶解および拡散挙動は、実用問題の解析のための基礎データとして十分に把握しておく必要がある。しかしまだこれらの基礎的な性質自体も不明な点が多い。本報では、まずこの研究の一環として今までに出されている測定データの解析を主体とした検討を行ない、鉄中の水素の溶解および拡散の機構を明らかにした。また測定法にかかわるいくつかの問題点も指摘した。さらに実用材料での問題として重要である変形と水素の溶解および拡散の問題について新しいモデルを導出した。
土橋 敬一郎
JAERI 1259, 82 Pages, 1979/02
LAMP-Bは衝突確率法を用いて、原子炉の格子計算を行う一連の計算コードを結合したもので、いろいろの形状ー板状格子、単一燃料棒を中心にもつ円柱格子、正方格子(後二者については二次元分割も可)、ATRにおける円環クラスタや軽水炉における正方配列クラスターの格子を対象にできる。対象となるエネルギー範囲は自在であり、熱中性子領域、高速中性子領域、或いは双方と含めて、多群計算を行うことができる。熱中性子炉用及び高速炉用のデータ、ライブラリが用意してある。LAMP-Bを構成するサブプログラムは単純でも利用できる。そのためプログラムを連絡する情報は、ヂィスクやカードに一旦収容される。このうち繰返し利用される情報はPDS(分割型編成ファイル)に収容され、これは、FACOM計算機のTEXT EDITURで確認できる。この報告では衝突確率法の一般的な説明とLAMP-Bの利用法を述べる。
白方 敬章; 飯島 勉
Journal of Nuclear Science and Technology, 15(8), p.553 - 567, 1978/08
被引用回数:0板状セル系の中性子拡散は一般に等方的ではない。LMFBRの組成を模擬した板状セルの場合、ブノアの理論に基づく方向別拡散計数の値は平行方向が直角方向よりも2~4%程度大きいことが分かっている。このことは板状セル臨界集合体の臨界性に影響を及ぼすことが予想される。この非等方拡散効果を輸送理論補正の場合と同様に通常の等方拡散計算に対する補正項として取扱うという現実的な方法が提案されている。実際のFCA、ZPRおよびZEBRA集合体に対してこの方法を適用してみた。その結果非等方補正の大きさは、板状セル系炉心に対して-0.2から-0.5%k/kに達した。しかもその値は、板状セル系ブランケット或はNaボイドの集合体の場合はさらに増大する。したがって非等方拡散効果は板状セル系集合体の臨界性の解析にとって重要な要素であり、従来の非均質効果に加えて補正されなければならない。摂動法に基づくこの補正法は、非常に現実的かつ有用な方法である。
飯島 勉; 白方 敬章
Journal of Nuclear Science and Technology, 14(9), p.682 - 684, 1977/09
被引用回数:1板状セル体系における中性子拡散は厳密には等方でなく、プレートの平行方向の拡散係数は直角方向に比べて一般に数%大きい。高速炉臨界実験装置における板状セルの装荷方式にはZEBRA式とFCA-ZPR式の二種類あり、前者は2次元的体系であるが後者は本質的に3次元的体系であり、拡散係数の異方性を考慮して性格に取扱うためには3次元非等方拡散方程式を解かなければならない。ここでは臨界性に対する拡散係数異方性の影響を、通常の等方拡散計算のk-値への補正項として取扱う方法を提案する。その際必要なものは通常の等方拡散計算並びに異方性を求めるセル計算だけであり、2次元あるいは3次元非等方拡散方程式を解くに及ばない。この方法はZEBRA式およびFCA-ZPR式の双方に対して適用できる。この方法をFCAVП-1集合体に適用してみると補正項の値は-0.34%k/k、またNa喪失時の場合は-0.88%k/kになった。これはk-値の補正項としては相当に大きい値であり、非等方拡散効果補正の重要性を示している。
金子 義彦; 秋濃 藤義; 鈴置 善郎*; 北舘 憲二; 黒川 良右; 小山 謹二
Nuclear Science and Engineering, 55(1), p.105 - 116, 1974/01
被引用回数:3抄録なし
金子 義彦; 秋濃 藤義; 鈴置 善郎*; 北舘 憲二; 黒川 良右; 小山 謹二
JAERI-M 5351, 34 Pages, 1973/08
原子炉の格子における非等方中性子拡散係数に関する理論の妥当性を証明することを目的として、パルス中性子法により軽水-アルミニウム正方格子について実験が行なわれた。この格子はピッチが19および24mmでボイドチャンネルを模擬したアルミニウム棒の直径は15mmである。実験結果は主として2次元SN法によって解析された。この方法の種々の利点によって、これまで減速材の中性子輸送距離に比較して大きな半径をもつボイドチャンネルを有する黒鉛正方格子において報告されてきた。これらのチャンネルと平行方向の拡散係数Daxialに関する理論、実験の不一致は、今度の実験では非常によく改善され両者の一致により、この結果、Daxialについては二次元SN法の適用が極めて有効であること、またチャンネルに垂直方向の拡散係数に対しては、従来通りBenoist対しては,従来の理論が精度よく適用され、体系の有限性にもとずく双極子効果等による精度の低下は認められないことが結論された。